デントリペアでなおせないヘコミがなおせるプーリングについて

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デントリペア(正式名称:Paintless dent repair)の修理方法には、裏から専用工具で押してなおす「プッシュ」と接着剤と専用工具を使ってヘコミを引っ張り出す「グルー・プーリング」(略してプーリング)の2通りがあります。

ここでは、下記のような内容をご紹介します。

  • デントリペアのプーリングとは?
  • プーリングの手順
  • プーリングに使う道具
  • いろいろなヘコミの形、複雑な形状にも対応するプーリング
  • 大きなヘコミもなおせるプーリング
  • プーリングのメリット
  • プーリングの弱点
  • プーリング やらないデント屋さんもいます

デントリペアのプーリングとは? 

簡単に言うとプーリングは、ヘコミにタブと呼ばれるものを接着してスライドハンマー、ハンドリフターなどを使って、パネルを引き出す作業です。

次の写真の青い半透明のものがタブです。そして、タブには熱で溶かすタイプの接着剤をつけて、ヘコミ部分に貼り付けます。

実際の施工事例:レクサスNX200tの屋根の修理実績

小さなタブ
ヘコミの右側においている半透明の青色のものがタブ

プーリングの手順

おおまかな手順は次の写真の通りです。

プーリングの手順
もう少し詳しい手順は、次の通りです。
  1. ヘコミの形状、塗装の状態をよく観察する。修理手順を考える。
  2. ヘコミ周辺をコンパウンドなどを使って磨く(※)
  3. アルコール(イソプロピルアルコール)で油脂分をきれいに拭く
  4. グルーガン、適切なグルー(接着剤)を用意
  5. ヘコミの形状にあわせて使用するタブを選択する
  6. タブにグルーを塗り、ヘコミに貼り付ける
  7. グルーの温度が下がって、必要な接着力が発揮できるまで少し待つ
  8. 専用工具で引っ張る
  9. イソプロピルアルコールを使ってタブ、接着剤を剥がす
  10. 引っ張った結果、ヘコミがどのように変化したかを観察
  11. 出過ぎたところをポンチング(ポンチとハンマーを使って)で修正
  12. 4.~10.を繰り返し、ヘコミを元の形状に戻していく

 (※)コーティングやワックスが残っている場合、接着力が弱くなります

結構、時間がかかります。複数のヘコミがある場合、同時進行で複数のヘコミの修理を進める場合もありますが、当店の場合、一つずつ丁寧に作業を進めることの方が多いです。

プーリングに使う道具

タブ

タブには様々な形状(色も様々)のものがあり、線状のヘコミに使うタブ、大きなヘコミ用のタブ、曲がった形状に対応できるタブなど様々なものがあり、ヘコミの形状にあわせて使い分けます。

いろいろな形状のタブ
様々な形状のタブをヘコミの形状に合わせて使い分けます

グルー(接着剤、ホットメルトグルー)

グルーガンにセットして使用する熱で溶けるタイプの接着剤です。様々な種類のものがあり、ヘコミや気温に合わせて使い分けます。通常、アルコール(イソプロピルアルコール)をかけて接着剤を剥がすのですが、アルコールフリータイプのグルースティックもあります。アルコールなしでも剥がせますし、剥がれないときもアルコールをかければスッキリ簡単に剥がすことができます。当店では、「作業性の良い」アルコールフリータイプと「強力な接着力を持つ」アルコールで剥がすタイプ、「グルーガン不要」のコールドタイプ(※)の接着剤を使い分けています。他に速乾タイプと呼ばれる「早く固まるタイプ」、「夏用」、「冬用」など様々な特性の接着剤があります。

※コールドグルー:グルーガン不要なので、効率よく連続でヘコミを引き出すことができます。

グルースティック
グルースティック 様々な特性のものがあります

グルーガン

グルースティックを熱で溶かしタブに塗る※ためのものです。100V電源を使ってグルーを溶かすタイプとリチウムイオンバッテリーを使用するコードレスタイプがあります。デントリペアのプロが使用しているのは、直径11mmのグルースティックに対応するグルーガンを使用しています。加熱温度も重要です。

グルーガン
グルーガン 熱でグルースティックを溶かしタブに塗ります

引っ張る専用工具 ハンドリフター

次の写真は、タブに専用の接着剤(ホットメルトグルー)をつけて、ヘコミに取り付けてから、”ハンドリフター”をセットしたところです。黒いハンドル部分を握るとタブの部分が持ち上がります。

ゆっくり力を加えていくことができ、また、力加減を調整することができるので、ヘコミをどこまで引き上げるのか見ながら調整できます。

ハンドリフター
ハンドリフター グリップを握るとタブが引き上げられます

引っ張る専用工具 スライドハンマー

先端にタブを引っ掛け、真ん中付近にある重り部分(ウエイト)をスライドさせて、ガンガンと引っ張ります。力加減が難しいです。

ウエイトが重いハンマーの方が威力がありますが、コントロールが難しくなり、引っ張りすぎる原因になります。重さの異なるスライディングハンマーの中から、ヘコミ、グルー、タブの形状にあわせて選択します。

スライディングハンマー
スライディングハンマー ウエイトの重さで使い分けます

ポンチ、ハンマー

さて、これでタブを引っ張るとヘコミが出てくるのですが、出過ぎた部分はポンチとハンマー(木製の場合が多いです)を使って叩いて高さや形状を調整します。

各種のポンチ
各種のポンチ

下の写真の右側のハンマーが、ポンチを叩くために使用するパドルハンマーです。

また、パネルの一部が他より高いとき、そのパネル表面をリズミカルに叩いて、高い部分は低く、その反動で低い部分を高くするテクニックもあります。そのときに使用するハンマーが下の写真の左側2つです。

各種のハンマー
各種のハンマー

いろいろなヘコミの形、複雑な形状にも対応するプーリング

プーリングは、もっと大きなヘコミや複雑な形状のヘコミはにも対応できます。

dented B pillar
曲がった形状のヘコミ

たとえば、上の写真のように複雑な形状のヘコミの場合は、ヘコミの一部ずつなおしていくこともありますし、下のように特別なタブ(形状を変えられる)を使用する場合もあります。

特殊な形状にあわせることができるタブ
タブはヘコミの形にあわせて選びます

このタブをスライドハンマーで「ガン、ガン」と引っ張って、ヘコミをある程度出したあと、出過ぎた部分は、もとの高さになるように表面を叩き、まだ凹んでいる部分は、再度ヘコミの大きさ、形状にあったタブを選び直して接着して引き出し・・・を繰り返し、完全にもとの形になるまで作業します。

大きなヘコミもなおせるプーリング

大きなヘコミをなおす場合には、大きなヘコミや長いヘコミに対応できるタブを使用します。また一つのヘコミに、タブを並べて接着し、引っ張る場合もあります。

タブ
大きなヘコミ修理用タブ(一例)

また、大きなタブや長いタブを引っ張るために、スライディングハンマーやハンドリフター以外に、次の写真のような「タブをテコの力で引き上げるツール K-Bar」や、「大きなタブをゆっくり引き上げることができるツール K-beam 」をつかうこともあります。大きなタブを引き上げながら、周辺の高くなっている部分をハンマーで叩くこともできる便利ツールです。ヘコミの周辺の形状が盛り上がっている場合は、特に有効です。

K-Beam と K-Bar
K-Bar(奥)と mini K-Beam(手前)
mini K-Beam使用例
mini K-Beamと長いタブの使用例

プーリングのメリット

なぜ、デントリペアでポピュラーな方法である「プッシュ」だけでなく、「プーリング」による修理技術が必要なのでしょうか。それには、次のような理由とメリットがあるからです。

No.プーリングのメリット
1大きなヘコミを強い力により、短時間で引き出すことができる
2裏に鉄板があったり、袋構造になっていて、裏からツールで押すことができない場所も修理できる
※例:ルーフサイドピラー、Aピラー、Bピラー、ドアパネルの上のほう、ボンネットの一部など
3内張り(インテリア)の分解をする作業時間が短縮できるから作業価格を抑えられる。
※例:屋根(天井分解は時間がかかる)、リアクォーターパネルなど

特に、2の「裏から押せないケース」に対応するには、プーリング以外の修理手段がない場合がほとんどなので、プーリング技術は、現在のペイントレス・デントリペアには必須の技術です。

プーリングの弱点

一方、プーリングには下記のような弱点があります。特に、塗装が剥げるリスクは、どのような車でもゼロではありません。当店では、作業前にリスクについてご説明し、剥げても弁償できない点を作業前に、予めご了承いただいております。

No.プーリングの弱点
1表面に金属部分が見えるようなキズがある場合、プーリングにより、キズ周辺の塗装が100%の確率で剥げるので、作業不可能。
金属部分が見えていないキズも、塗装が剥げるリスクが高くなる。
2年数が経過した車ほど、プーリング作業で塗装が剥げるリスクが高くなる。新車でも剥げることがある。
剥げた場合、代金はいただきませんが、弁償もできないことを事前にご了解いただきます。
3ヘコミの状態によってはコーティングを残したままプーリングできることもあります。
しかしながら、基本的には、表面にある薄い傷を磨いてから作業するので、ヘコミ周辺部分のコーティング効果はなくなります。
※当店で、ガラス系コーティングを部分的に再施工させていただくことも可能です。
4板金塗装修理歴のあるパネルをプーリングで引っ張ると、高い確率で塗装が剥がれます。板金塗装されていると判断した場合、プーリングはお断りしますが、見分けがつかない場合もあります。
同じく、板金塗装したパネル(例:前ドア)の周辺のパネル(例:後ろドア)に、ぼかしのための塗装がされていることがあり、ぼかし塗装されていた場合は、プーリングした部分の塗装(特にクリア層)が剥がれます。

プーリング やらないデント屋さんもいます

プーリングは、プッシュと比べて「より高度なテクニック」と「根気と必ず綺麗になおすという強い気持ち」が必要な作業だと思います。

他店(他のデント屋さん)では「プーリングは、やっていない」こともあります。また、お客様からの話ですが「広い面積を修理すると凹凸がのこる」と説明しているデント屋さんもいるとのことです。

一見、簡単なようで実は難しい技術であり、広い面積を綺麗にもとの形に戻すには、相当の時間もかかります。

当店は、もちろん、プーリングの仕上がりにもこだわっています。お客様に、「綺麗に元どおりになおった」、「映り込んだ蛍光灯がまっすぐで、映り込んだ景色もゆらゆらしない」とお客様に言っていただけるように最善を尽くし仕上げております。

最後に

時折、ルーフサイドピラーやリアクォーターパネルはペイントレス・デントリペアでは修理できないと思っておられるお客様がいらっしゃいますが、プーリングを使用すれば「できない」と思われている部分でも修理可能なケースがとてもたくさんあります。
→ 当店、プーリングによる修理実績

他店でできない と言われたヘコミや、他店で提案されたヘコミ修理方法が納得できない、他店のヘコミ修理の結果に満足できない、などもご相談ください。

もちろん、ご相談やお見積は無料です。ご相談の上、お客様にとってベストと思われる方法をご提案させていただきます。

ペイントレス・デントリペアは、「その日のうちに作業が完了」しますし、ほとんどのケースで「鈑金塗装よりお得な金額」で修理できます。

「経年劣化の心配がない」、もともとの塗装面のままですから「修理箇所だけ周辺と感じが違うということがない」など、デントリペアにはメリットがいっぱいあるので大変お奨めです。 また、直せなかった場合は、代金はいただきません。
傷のない凹みの修理なら、まず、デントリペアをご検討いただき、デントリペアがだめなら鈑金塗装という順番で検討されるのがおすすめです。

車にヘコミを見つけたらデントリペア・ヨコイ 担当:横井まで TEL 080-4559-0147 受付時間 9:00 - 20:00 [ 土・日・祝も受付中! ]

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